小林研一郎さんの海外デビュー50周年の節目を飾る公演として、ハンガリー・ブタペスト交響楽団が来日し、ソリストに亀井聖也さんを迎えてのコンサートがあった。
聴衆の一人としてその場にいられたことを感謝するくらい感動が大きかった。
最初にコバケンさんのお喋りがあった。
1974年第1回ブタペスト国際指揮者コンクールの一次予選で課題曲をくじ引きで選んだところ、引き当てたのが今からお届けする曲。
(コンクールでは第一位、及び特別賞を受賞された)
皆さんの「心のひだ」まで届くような演奏をする。
そして、ロッシーニの歌劇『セヴィリャの理髪師』序曲からプログラムが始まった。
譜面台なしで指揮台の上でエネルギッシュにタクトを振る姿は84歳とは思えない情熱的なパフォーマンス❗️
最初にこの楽団と演奏して以来50年、現在は名誉指揮者を務めているそうだ。
2曲目はリストの「ピアノ協奏曲第1番変ホ長調」、ソリストは亀井聖也さんだ。
グランドピアノが正面に準備され、会場中が彼の登場を心待ちにしていた。
さっそうと登場した姿に万雷の拍手👏
(スラリとしてかっこいい❣️)
私は2階の張り出し席だったので、ピアノを弾く手元や、オーケストラの全体を綺麗に見渡すことができた。
超絶技巧を得意とする彼の指は鍵盤の上を滑るように動き、鍵盤を離れた腕の動きもしなやかだった。
左腕がふわりと弧を描きまた鍵盤にもどる。
とても自然で綺麗な動きだ。
足も右足を前に出し、左足は後ろ。
時に左足が浮き上がるような場面も。
体全体でピアノと一体になって音を紡ぎ出している。
鍵盤の上に音符の粒がふわっと並び、私の方へ流れてくるのが目に見えるような錯覚さえ感じた。
繊細な音、力強い音、音の一粒一粒が明快な意志を持って伝わる。
拍手は鳴り止まず、4度目のカーテンコールの後、アンコール曲を弾いてくれた。
リストの「ラ・カンパネラ」だ。
最初の音を聴いた瞬間「あっ、あの曲だ」とわかるのに、タイトルが出てこない😅
素晴らしい演奏を生で聴けてもう何もいうことはない。
この時、コバケンさんはヴァイオリン奏者の女性の椅子を半分借りて、ちょこんと座って耳を傾けていた。
何だかお茶目な一面を見た気がする。
3曲目はチャイコフスキーの「交響曲第5番ホ短調Op.64」だ。
これも譜面台なし。
コバケンさんの指揮に魅入ってしまう。
指揮台の前方に立ち、膝を曲げたり、体を捻ったりと激しい動きだ。
後ろから見ると、常に髪が揺れている。
溢れんばかりの情熱がほとばしり、オーケストラの演奏者の思いも伝わってくる。
全員で作り上げる演奏って素晴らしいな。
とても有名な曲なので大いに盛り上がった。
終演後のスタンディングオベーションはずっと続いていた。
あの人もこの人も感動と興奮で上気した満足げな表情だった。
とても素敵な時間を過ごせたコンサートだった💓