昨日の天気は花曇。
夜から降り出した雨が、今朝になっても止みません。
天気予報などではよく「花散らしの雨」などと表現しますが、本当に桜が散ってしまうのではと心配です。
ここ数日で山桜は姿を消し、里山は新緑の季節を迎えています。
黄緑色に輝く木々がこんもりと勢いよく、目に鮮やかに迫って来ます。
道路沿いの桜も満開を過ぎ、歩道に花筵(むしろ)を作っています。
「花散らし」という言葉について、調べてみました。
広辞苑によると「旧暦の三月三日に花見をした翌日、若い男女が集い飲食すること」だそうです。
現在の意味とは随分違いますね。
「桜」といえば思い浮かぶ私の好きな和歌を紹介します。
世の中にたえて桜のなかりせば春のこころはのどけからまし
「もし世の中に全く桜というものがなかったら、春を過ごす人の心はのどかだっただろうに」という意味です。
昔も今も桜を愛でる人の心は変わりません。
厳しい寒さの和らぐ春に、早く桜が咲くのを待ち望んでいます。
また、雨や風で散ってしまうのを悲しく思います。
綺麗な時期に眺めに行きたいと、気もそぞろになります。
春なのに、のんびりゆったり過ごすことができません。
そんな人々の気持ちを「もし桜がなかったら・・・」と逆説的な表現で詠んでいます。
斜に構えているようですが、業平もやはり桜を愛でていたのでしょうね。
3月から4月にかけて、
「どこか花見に行った?」
「どこそこの桜は満開だったよ」
「早く行かないと散ってしまうよ」
「夜桜も綺麗だよ」と何かしら桜の話題が多くなります。
私たちにとって、ごく当たり前の会話です。
桜前線のニュースが流れるのは、外国の人にはきっと理解できないでしょう。
今年は河津桜、ソメイヨシノ、枝垂れ桜とたくさん眺めたので、とても癒されました。
散るからこそ、また来年を心待ちにできるのですね。