朝、生け花講座に行くと先生が「今日は重陽の節句ね、ということは?」
「菊ですか?」
そう、今日の花材は菊がメインだった。
ソケイ(素馨)を主線に使用する。
主役となる紫の菊はまだ開いていない。
黄色い小菊の方が花数が多くて目立つ。
どう扱えばいいの?と悩みつつ入れてみる。
最後に先生がワレモコウ(吾亦紅ー細い茎の先に紫の花をつける)を入れ直してくださる。
そして、左手前に残ったソケイを差し込み、主線の弱さをカバー。
なるほど。
放射状に真ん中に集中する形で完成。
(ありがとうございます)
その後、五節句について話を聴いた。
人日(じんじつ)1月7日、上巳(じょうし)3月3日、端午(たんご)5月5日、七夕(しちせき)7月7日、重陽(ちょうよう)9月9日が五節句だ。
「重陽の節句」は平安時代初めに中国から伝わった五節句の一つ。
菊の花を飾ったり、菊の花びらを浮かべたお酒を楽しんだりして、長寿や無病息災を祈願する。
900年9月10日、道真は「残菊の宴」で「秋思」という詩を詠む。
醍醐天皇は大いに感激され道真に自分の衣を与えた。
道真は翌年、藤原時平の讒言(ざんげん)により太宰府に左遷される。
901年9月10日、天皇をお慕いする「九月十日」の詩を詠む。
去年の今夜 清涼に侍す
秋思の詩篇 独り断腸
恩賜の御衣 今ここに在り
捧持して 毎日余香を拝す
去年の今夜、私は清涼殿で醍醐天皇のそば近くにお仕えしていました。「秋思」という題で詩をつくるようにという思し召しに、私の心からの思いを込めた詩を奉り、その褒美にと賜った御衣をこの太宰府まで持ってきています。捧げ持っては余香に帝を思い出し、お慕い申し上げる毎日です。
『大鏡』の中に、このお話があるのを思い出した。
都へ帰ることなく太宰府で終焉を迎えた道真の醍醐天皇への真摯な思いが伝わってくるエピソード。
生涯梅を愛した道真は、菊も愛でていたんだろうなぁ。
たまには記憶の底からいろんなお話を引き出してこないと、ぼんやりさんになってしまう。
重陽の節句から菅原の道真を思い出した自分を、ちょっと褒めてみよう。