朝、洗い物をしていると、「ホーホケキョ」という鳴き声が。
(えっ、ウグイス?それも今頃?)
今年初めて聞きました。
出窓の外はお向かいさんやお隣さん。
どこの庭の木に止まって鳴いているんだろう?
声はすれども、姿は見えずです。
ふと、「枕草子」の一節が浮かんできました。
第41段「鳥は」の中に、鶯についての記述があります。
鶯は、ふみなどにもめでたきものにつくり、声よりはじめてさまかたちも、さばかりあてにうつくしき程よりは、九重のうちに鳴かぬぞいとわろき。
(現代語訳)
鶯は、漢詩文などにも見事なものとして描かれ、声からはじめて姿や顔つきもあれほど上品で可愛らしいのに、宮中で鳴かないのは感心できない。
続きを簡単にまとめてみます。
宮中では鳴かないけれど、里で聞くと、卑しい家の梅の木でうるさいほど鳴いている。
夏・秋の終わりまで老いた声で鳴いて、悪く言われるのは残念だ。
雀ならそう思わない。鶯が春鳴く鳥だからこそ。
清少納言は、春に綺麗な声で鳴く鶯が夏・秋に評判を落とすのを残念がっています。
鶯は「春告鳥」(はるつげどり)とも呼ばれます。
初めて鳴く「初音」(はつね)は、日本人に春の訪れを知らせる役目を担ってきました。
ちょうど梅の咲く時期とも重なるので、「梅に鶯」という言葉もあります。
これは、「美しく調和する取り合わせのいいもの」という意味を持ちます。
早春を代表する「梅」と「鶯」の取り合わせは、詩歌や絵画によく使われてきました。
「枕草子」にも綴られていますね。
鶯が「ホーホケキョ」と鳴くのは、春になって繁殖の準備を始めるためだそうです。
オスが自分の縄張りにメスを呼ぶために発する鳴き声ですが、人は風情を感じるのでしょうね。
(鶯は一夫多妻だそうな)
ところで「ウグイス嬢」という言葉がありますね。
球場内でアナウンスを担当する女性のことを指しています。
1947年に、美しい声で仲間を呼び寄せるウグイスに由来してマスコミが名付けました。
今街中は、選挙カーだらけ。
「ウグイス嬢」が盛んに候補者をアピールしています。
その美しい声が有権者に届くといいのですが。