タイトルが気になって借りてきた。
原田ひ香さんの本はよく読んでいる。
面白くって人情味があって、お料理の描写もよく出てくる。
主人公は、東京郊外にある「夜の図書館」で働くことになる。
そこは夜7時から12時まで開館する。
亡くなった作家の蔵書が集められた“本の博物館”のような図書館。
入館料は1000円なり。
食堂では図書館員のためのまかないとして「実在の本に登場する料理」が出てくる。
小説の中に出てきたまかないは、次の通り。
1 しろばんばのカレー
井上靖の『しろばんば』でおぬい婆さんが作るライスカレーを再現したもの。
2 「ままや」の人参ご飯
「ままや」というのは向田邦子さんが妹さんにやらせていたお料理店。
3 赤毛のアンのパンとバタときゅうり
『アンの青春』でアンが食べて美味しかったというパンとバタときゅうりをサンドイッチにしたもの。
4 田辺聖子の鰯のたいたんとおからのたいたん
鰯を炊いたものが主菜、そのお汁でおからを炊いたものが副菜の組み合わせ。
5 森瑤子の缶詰料理
オイルサーディンの缶詰をフライパンで温めて醤油をじゅっと垂らしてご飯に油ごとかけたやつ。
同僚の図書館員といろんな事件に遭遇しつつも、少しずつ仕事に慣れ、仲間にも馴染み、まかないで癒される生活。
誰しも何らかの秘密を抱えて生きている。
それぞれのキャラクターに親しみを感じながら、読み終えた。
「夜の図書館」と聞いただけで謎めいた感じがする。
そこでのお夜食(まかない)食べてみなくなった。